名刺小説04

 

女王の氷砂糖があしらわれた指輪。

従者が豪奢な指輪を用意しても、

侍女が美麗な指輪を用意しても、

女王は決して氷砂糖の指輪を外しません。

かつて姫君だった女王は

お城から抜け出したときに

吟遊詩人と出逢いました。

詩人は異国の言葉で歌い、

姫君はそれに魅了されてしまいました。

「貴女はきっと偉大な人になる」

そう云って詩人は姫君に

氷砂糖の指輪を渡しました。

国を統べるというのは大変な重圧です。

女王はつらいとき、

そっと指輪を舐めました。

甘さに言葉を思い出し、

自らを

勇気づけるため

です。

氷砂糖作品リストへの