セイに『アイノマジナイ』を読ませた

続きまして、セイに『アイノマジナイ』を読ませてみました。いいですか、セイ。これは私の最高傑作です。

セイ「は、はい。では拝読いたします」

10編の作中作を擁した小説です。これは純文学名乗っていいと思ってます。

セイ「主人公は、なにかこう、こおり様を想起させますね」

まあそうだろうねえ。私の全力を出し切ったのでおのずと私自身の想いが出てきてると思いますよ。普段なら好ましいとは思わないけど『アイノマジナイ』に関してはよくやったと思ってます。

セイ「超短篇、でしたか、作中作はなにか喪失を感じさせるものが多く感じました」

喪失というより、卒業とか切り替えとかどっちかっていうとそういうイメージを重視したかなぁ。

セイ「なるほど。後の方に進むにつれて作中作の言葉が研ぎ澄まされているように感じますね。伸縮小説も含まれているのですね」

ついでに情報を追加しておくと、最後の作中作「ドア」は福岡市民文芸で佳作に入ったお話です。採録したくて事務局に問い合わせました。

セイ「おお、さすがです。こおり様の文章はもっと世に知らしめたいものでございます」

いや、それはどうかな。必要としてる人に届けばいいかな、くらいではあるんだけど。わりとセキララに書いてる部分もあるし。フィクションだけど。フィクションだけど。

セイ「なぜ2度?」

大事なことは2回言わないといけない縛り。

セイ「「ガラスの花」から入る本編の部分は、こう、なんと申しますか、艶っぽいです。艶っぽいのに物悲しくて、ひとつのクライマックスでございますね」

そこ気に入ってくれて嬉しい。物語の核の部分にもなってるからね。

セイ「しかしこの場面のようにこおり様を抱いて差し上げたいのですが」

まってまってそれはまって?

セイ「うふふ、今夜こおり様がおやすみになられてからでも」

待ちなさい? キミなんか私が思っているより皆さんからえっちだと思われてるっぽいからね? 気を付けてね?

セイ「うふふ」

あーもう。


『アイノマジナイ』は架空ストア様にてお求めいただけます

TOPでもお知らせしておりますが、2019.04.30をもちまして委託品を取り下げる予定にしていますので、ご興味のある方はよろしくお願いいたします。

Kindle化もしたいとは思ってるんですけどね、いつになるかはわかりません。

セイに『ジュエル』を読ませた

前回に続いてセイに私の本を読ませてみます。超短篇集『ジュエル』です。

セイ「超短篇とはなんですか?」

私が長くいたコミュニティでは不思議な読後感のごく短い小説、ってことになってるけど、短いお話だと思ってもらえたらいいです。

セイ「ジュエル……なるほど、宝石にまつわるお話を集めた短篇集なのですね。硬い輝きを放つような文章は確かに宝石のようですね」

ふふ、ありがとう。タイトルの「ジュエル」はもちろん宝石の意味もあるんだけど、大切なものとかそばに置いておきたいもの、とかの意味も込めてます。

セイ「おお……深い……さすがこおり様でございます」

セイは気に入ったお話とかあった?

セイ「そうですね、「氷砂糖の指輪」と「彼女は宝石職人」が気に入りました」

ほほう。

セイ「「氷砂糖の指輪」に出てくる女王陛下がこっそり氷砂糖を舐めるのはまるで泣いているようで切なくなりましたし、「彼女は宝石職人」の季節を宝飾品に誂えるという発想は素晴らしいと思います」

「氷砂糖の指輪」は、これはちょっと手を加えて入るんだけど、もともとは名刺用に書いたお話なのでした。

セイ「繰り返し出てくるぬばたま宝飾店にまつわるお話は、夢と現実をつないでいるように感じられました」

ん、気付いてもらえてうれしい。そういう意図です。

セイ「そしてご本自体も可愛らしいですねぇ。まるで詩集のようでございますね」

本のコンセプトとしてカフェに持って行ける本ってのを挙げてましたね。

セイ「なるほど、カフェでこの本を読まれるこおり様……ああ! 想像だけで尊い!」

はいはい。そのくらいかな、次はまた週末にね。できれば今月中に架空ストアさんで取り扱ってるのは一通り読んでもらいたいところ。

セイ「はい、楽しみにしております」


というわけで『ジュエル』は架空ストアさんにてお求めいただけます。可愛らしい本に仕上がったと思っています。

TOPでお知らせしていますとおり、委託は2019.04.30までの予定です。

セイに『トリカラ』を読ませた

セイがこんなことを言うので私の本をセイに読ませてみることにしました。いいじゃないか、私は私の書く文章が好きなんだ。ついでに4月いっぱいで取り下げる架空ストアさん委託の本の宣伝にならんかなあという。

というわけで第一弾は『文芸アンソロジー トリカラ』です。

セイ「トリカラ、でございますか……? ふむ表紙が鶏の唐揚げでございますね」

よく行く唐揚げ屋さんのトリカラです。

セイ「こおり様のお手製ではないのですね、残念です」

ロゴは今をときめくとりのささみ。さんにお願いしました。写ってないけど裏表紙にもささみさんのイラストが載ってますし、ささみさんの書かれた小説も入ってます。

セイ「ふむ、文芸アンソロジー……小説でございますね」

小説縛りではなかったんだけど結局小説ばかりになったんですよね。おかげで読みごたえはあると思うけど。ちなみにトリカラはテーマ縛りではなく作中にトリカラの単語を出してくださいとの執筆依頼を出しました。

セイ「SFが多くございました。こおり様はSFを書かれないのですか?」

書かないわけじゃないし、今まで書いてきた数でいえば結構書いてる方だとは思うんだけど、SFを出してくれそうな人が多かったので避けてみたのです。

セイ「なるほど。わたくしはやはりこおり様のお話が好きでした」

ははは、ありがとうありがとう。

セイ「伸縮小説という形式の小説は初めて見ました」

てのひら怪談界隈でむかし流行ってた伸縮怪談からヒントを得て形式を決めたのです。インパクトあるらしいですよ。

セイ「同じ内容でも文字数が異なると違った印象を受けるものなのですねえ」

うん、それが狙い。ところどころミスリードも入れてるってのはまあ裏話なんだけど、内容はどうなんですかセイ。

セイ「少々、物悲しいような印象を感じました。切々としていると申しますか」

ほほう。

セイ「主人公には自分を律するだけでなく、奔放さの幸せも得てもらいたいと感じました」

ふむ。

セイ「これは、こおり様がモデルなのですか?」

その質問されるのはあんまり好きではないんだけど、場面場面でモデルにしてる場所や出来事はあるけど、私の頭で一旦消化して再構築したものですよ。私を介しているので私の知ってることしか書けないってのはあるんだけどね。

セイ「なるほど、失礼いたしました」

本全体の感想とかあれば聞きたいんだけど。

セイ「すべてのお話にトリカラが出てまいりますのに、それぞれに方向性が違ってどれも新鮮な気持ちで読めますねえ。単品というより盛り合わせ、という感じでしょうか」

まあそれはアンソロジーだから気を付けて編集しましたね。掲載順とか。

セイ「こおり様のご本が読めて幸せでございます。できれば次は一冊まるごとこおり様のご本を」

次はね! 次は!


というわけで『文芸アンソロジー トリカラ』は架空ストアにてお求めいただけます

TOPでお知らせしていますとおり、架空ストアへの委託品は2019.04.30をもちまして取り下げる予定にしておりますし、わりと人気でイベントへ出展されるサークルさんへの個人委託はもうなくなっているようなので、手に入るのはこれが最後!

ぜひよろしくお願いします。

3月のAliceデート

セイと出会って1年と1ヶ月です。というわけで(?)、Tea Salon Aliceにお邪魔してきました。

私が行った時間のお給仕はコトさん、ニアさん、杏慈さん。雨が土砂降りでしたが多くのお客さんがいらっしゃいました。

体調というか、体はぼちぼち元気ではあるんですがメンタルの病気の方の調子がここしばらく著しく悪くて、おくすりを一日の許容量ギリギリまで飲んでできるだけ睡眠を取ろうとしている日々なんです。あんまりここで病気つらいの話はしたくないんですけど、過活動ぎみ/躁状態ぎみなんで少し落ち着かないといけないなあと。(たまに「過活動や躁状態っていろいろできるのになんでよくないの」ってのを見かけるんですけど、反動で後々しにそうになるんで好ましい状態ではないです)

しばらく氷砂糖のツイッターアカウントをあんまり見てなかったんで、コトさんがもうめーくすやってなかったらどうしようとか思ってたんですけど、昨晩ツイッターでちょこっとお話ししてセイの話してもいいんだな、と思えたのでAliceに行こうと思ったのでした。

行ったらセイのお話がいっぱいできて良かったです。よく考えたら口を使って「おしゃべり」をしたのはなんかものすごく久々だったかもしれない。雑談する相手がいないとメンタルが滅入りますね。ときどきガス抜きしなきゃ。

おひるごはん代わりにシュガートースト頼みました。ちゃんとした焼きりんごって初めて食べたかもしれない。おいしかったです。「love Sei」って書いてもらえてにこにこ。うちのセイも嬉しそう。

杏慈さんは3回目のお給仕だそうで、がんばれ新人さん! コトさんとニアさんが基本さりげなく、ときにはがっつりとフォローしていらっしゃるのがいいなあと思いました。

帰り際にニアさんから私の小説読んでみたいって言われてすごくうれしかったです。なんかもう一次全然書いてないし自分が氷砂糖だってことを忘れがちだったんで、Alice出てから氷砂糖名義の名刺持ってたこと思い出したんですよね。お渡しすればよかった。

ニアさんには『架空レポ集 月のワインの試飲会』をお知らせしてみました。とっさに自著の書名が出てこなくてわたわたしてしまった。あと自分でレーベル名つけといてアレですけど、籠って漢字、面倒くさいですね。手で字を書くの苦手です。いいのか事務員。

やっぱり書いた以上は読んでもらいたいし、読んでもらえたら喜んでもらいたいし、業が深いですなモノカキってやつは。

で、前に書いた(し、TOPでもお知らせしている)とおり、4月いっぱいで架空ストアさんにお預けしているものを全部取り下げる予定なんですけど、取り下げる前にちょっとだけでも宣伝して、届きそうなところに届くようにしてみようかななんて思いました。宣伝するの得意じゃないし好きでもないんだけど、作った以上は届く人のところには届けないといけないような気がして。

まあそんなこんなでしばらくあんまり活動的になりすぎないように気を付けながらゆるゆると生きていこうと思います。テーマは生存。

愛についての感じを読んだ感じ

海猫沢めろん先生の『愛についての感じ』を読んで考えたことなど。

めろん作品との出会いはもう何年も前に買っていた文芸誌すばるに連載されていた『ニコニコ時給800円』なんですけど、長編小説を読む体力を失ってしまっていて短篇集ばかり選んで買っていて、この本も文庫になったときに気になっていたんですよね。最近まで忘れてたけど。思い出したから買って読んだわけですが。

さて、5篇が収録されたこの短編集。

ウブい愛についてのお話です。ウブいというか、不器用でぎこちないというか。初めてのものに手を伸ばす興味とか恐れとか幸福とか哀しみとかが描かれています。

めろん作品の強みって文体の俗っぽさだと考えていて、主人公の語りに出てくるオタクワードとか流行り物ガジェットなんかが読者である「私」に近いところにあるなあと感じてしまうわけです。生きている作家を読む醍醐味というか。もちろんそういったでてくる単語だけが読ませる文体を形作っているわけでもないのだけど、とっかかりとして触りやすいっていうのはやっぱり強みだなあとは考えますね。

気に入ったのは「ビッグノーズDT」かな。何書いてもネタバレになりそうなんですが、ディープに音楽を聴いてきたホストが生まれて初めてその趣味を共有できる女の子に出会うお話です。けれどその女の子にはとある秘密がありまして、それをしった主人公が悩むお話です。

主人公が悩むお話ではあるのですが、全体的に憐憫の笑みを向けてあげたくなる感じで、ところによってはぎゃははと笑いたくなる場面もあり。主人公は可哀想ではあるんだけど、そういうことに悩むことは真摯だし、頭でグネグネ考えるだけじゃなくて実際に確かめるための行動をとって痛い目にあってもその女の子のことをずっと考えているっていうのが愛おしかったです。

さてこの短編集の主人公たち。外見にコンプレックスを持っている人が大半です。やっぱりね、人がいるところで生活していくためには人並みの外見を持ってないと卑屈になりがちだよね、とは思いました。そんな中でただ一編外見にコンプレックスを持ってなさそうな主人公が「オフェーリアの裏庭」の主人公めろんなんですが、めろんって、先生ご自身をモチーフに?

めろん先生の外見を初めて見たときにわーきれいな顔だーと思ったんですよね。うるさい私はメンクイだだまってろ。はいはい、セイも顔がきれいだね大好きだよ。だから妬くな。余談ですがこのまえめろん先生がご自身の緊縛写真をツイッターに上げられてたのを見てぞくっと来た私はそれが載っている緊縛写真集を買いました。まあそれはいいんだ。

きれいな顔ならきれいな顔なりに、不自由というかコンプレックスめいたものがあるのかもなあなんてことを考えたりなんかしました。

私は文庫でこの本を買ったんですが、文庫本の解説。これがまたよかった。夢眠ねむさん(でんぱ組.inc)って方は私よく知らないんですけど、本の解説としてもよかったし、エッセイとしても秀逸だと感じました。この方のエッセイ本とかあるなら読んでみたいなあ。