コミックス版キッズファイヤー・ドットコムを読みました

海猫沢めろん先生原作の『キッズファイヤー・ドットコム』、2巻までは年末に読んでたんですが、3月に入って完結編の3巻が出たので読みました。

いやー、面白かった!

https://note.com/uminekozawa/n/n1791fb9499b9

コミックス版の存在はめろん先生の上記noteから知りまして、作画は川口幸範先生です。ヤングマガジン掲載だったらしく、男性向けの絵柄ではありますが女性でも問題なく受け入れられるんじゃないかしら。 コマを引用してあるので見てみてください。

さて、『キッズファイヤー・ドットコム』、子育て×ホスト×クラウドファンディングという前情報はあって、お金に余裕ができたら本を買おうと思っていたのですが、ええと、Kindleでマンガ読むのってたいへん捗りますね(?)

あらすじを軽く紹介しておきますね。

イケメンサイボーグとも呼ばれる完璧なホスト白鳥神威(シラトリカムイ)のもとにある日捨て子が。人の心を読む天才のホストである彼なら仕事も育児も完璧に……というわけにはいかず、すったもんだがありまして。

クラファンにつながるあたり(コミックス版だと2巻の終わりくらい)からはネタバレになっちゃうんで自重しますけど、ここからが怒涛の展開で! 3巻は超エキサイティング!

いやー面白かったですよ……。コミックス版と原作小説では違うところも結構あるそうなのですが、私がよかったなと思った演出は、コミックス版の神威が少女マンガ好きという設定でした。3巻のね、中でね、一瞬少女マンガ雑誌が描かれてるコマがあるんですけど、こういう演出ってたぶんマンガじゃないとさりげなくはできないんですよね。

というわけでオススメ。原作も文庫版が出る? 出た?っぽいのでお財布に余裕ができたら読みたい……。

ところでKindle読書はたいへん便利というか、原則的には貸本だとはわかっていても、物理的に場所を取らないし、端末にロックかけとけば中身見られないし、いいですね。本自体を人に貸したりあげたりする予定がなければこれからは積極的にKindle版を買いたいなあと思っています。ただまあ、書影が撮れないのは残念ですねえ。いや、スクショすればええやんとかはあるんですけど、なんとなく私基準でそっけないというか。まあセイを添えたいだけですが。

 

ついでに近況的なお話をしますと、刀剣乱舞の二次創作SSをよく読むようになりました。明石国行×審神者ばっかり読んでます。BOOTHでご本をお迎えしたりも。まだ明石は弊本丸にはいませんが。

久々に一次創作のカキモノをして、折本を作りました。セブンイレブンのネットプリントで2020/03/22いっぱいまで配信しています。プリント番号は【60555992】です。一次創作なので久々に氷砂糖の名前使った。おうちプリント派の方にはこちらをどうぞ。PDFです。

あと、おはラニカ用のいろいろが整ってきたので3月末にボーナス明細が来ればいろいろGOします。

愛についての感じを読んだ感じ

海猫沢めろん先生の『愛についての感じ』を読んで考えたことなど。

めろん作品との出会いはもう何年も前に買っていた文芸誌すばるに連載されていた『ニコニコ時給800円』なんですけど、長編小説を読む体力を失ってしまっていて短篇集ばかり選んで買っていて、この本も文庫になったときに気になっていたんですよね。最近まで忘れてたけど。思い出したから買って読んだわけですが。

さて、5篇が収録されたこの短編集。

ウブい愛についてのお話です。ウブいというか、不器用でぎこちないというか。初めてのものに手を伸ばす興味とか恐れとか幸福とか哀しみとかが描かれています。

めろん作品の強みって文体の俗っぽさだと考えていて、主人公の語りに出てくるオタクワードとか流行り物ガジェットなんかが読者である「私」に近いところにあるなあと感じてしまうわけです。生きている作家を読む醍醐味というか。もちろんそういったでてくる単語だけが読ませる文体を形作っているわけでもないのだけど、とっかかりとして触りやすいっていうのはやっぱり強みだなあとは考えますね。

気に入ったのは「ビッグノーズDT」かな。何書いてもネタバレになりそうなんですが、ディープに音楽を聴いてきたホストが生まれて初めてその趣味を共有できる女の子に出会うお話です。けれどその女の子にはとある秘密がありまして、それをしった主人公が悩むお話です。

主人公が悩むお話ではあるのですが、全体的に憐憫の笑みを向けてあげたくなる感じで、ところによってはぎゃははと笑いたくなる場面もあり。主人公は可哀想ではあるんだけど、そういうことに悩むことは真摯だし、頭でグネグネ考えるだけじゃなくて実際に確かめるための行動をとって痛い目にあってもその女の子のことをずっと考えているっていうのが愛おしかったです。

さてこの短編集の主人公たち。外見にコンプレックスを持っている人が大半です。やっぱりね、人がいるところで生活していくためには人並みの外見を持ってないと卑屈になりがちだよね、とは思いました。そんな中でただ一編外見にコンプレックスを持ってなさそうな主人公が「オフェーリアの裏庭」の主人公めろんなんですが、めろんって、先生ご自身をモチーフに?

めろん先生の外見を初めて見たときにわーきれいな顔だーと思ったんですよね。うるさい私はメンクイだだまってろ。はいはい、セイも顔がきれいだね大好きだよ。だから妬くな。余談ですがこのまえめろん先生がご自身の緊縛写真をツイッターに上げられてたのを見てぞくっと来た私はそれが載っている緊縛写真集を買いました。まあそれはいいんだ。

きれいな顔ならきれいな顔なりに、不自由というかコンプレックスめいたものがあるのかもなあなんてことを考えたりなんかしました。

私は文庫でこの本を買ったんですが、文庫本の解説。これがまたよかった。夢眠ねむさん(でんぱ組.inc)って方は私よく知らないんですけど、本の解説としてもよかったし、エッセイとしても秀逸だと感じました。この方のエッセイ本とかあるなら読んでみたいなあ。