女王の氷砂糖があしらわれた指輪。
従者が豪奢な指輪を用意しても、
侍女が美麗な指輪を用意しても、
女王は決して氷砂糖の指輪を外しません。
かつて姫君だった女王は
お城から抜け出したときに
吟遊詩人と出逢いました。
詩人は異国の言葉で歌い、
姫君はそれに魅了されてしまいました。
「貴女はきっと偉大な人になる」
そう云って詩人は姫君に
氷砂糖の指輪を渡しました。
国を統べるというのは大変な重圧です。
女王はつらいとき、
そっと指輪を舐めました。
甘さに言葉を思い出し、
自らを
勇気づけるため
です。