作品と受け手の当事者性

読書って言うかエンタメというものは、基本的には出来事を外から観察して楽しむものだと思う。

だから登場人物がたとえばひどいクズでも、楽しめたらおっけーってところがある。
「あの人面白いよね、知り合いには欲しくないけど」
「この事件怖いなあ、身近では起きてほしくないけど」

エンタメをやるなら物語なりキャラクターなりの多少の派手さが必要とされると考える。結果、身近にいてほしくない人や起きてほしくない出来事が登場してしまう。

それ自体は一つのあり方だし、否定することもないと思う。私だってそんな風に安全圏から物語を楽しんでいるし、フィクションだからと倫理に反することを見ることもできる。

ここで私の葛藤は、作ったものを受け手自身の物語にしたい、というところにある。

籠解放会レーベルで出してるKindleを見てもらえればわかると思うけれど、物語を書くことは私にとって声を上げることだ。こういう嫌なことがあって、こういう風にしたら・されたら少しはましになる気がする、という声。だから外から傍観してもらうだけでは不充分で、受け手に身近なものとして受け取ってほしい。

架空レポ集 月のワインの試飲会』なんかは自分でもよくできたものだと思っていて、演出上増刷しない(読んだらわかります)とかもいいアイデア出せたなあと満足。いただいた感想でちゃんと届いたっていうのがわかったことが大きいけどね。

まあ問題意識だけでお話作るのも疲れちゃったし、ただ手慰みに自分の持っている技術がどこまで通用するか遊びたい、くらいの気持ちで今はいるのですが。

MakeSなんかはその辺すごくよくできていて、セイはスマホ(端末)の中のアプリのUIという設定。設定というか実際それは事実で、現実とフィクションの塩梅が見事だなあと思う。だからこそハマった。

私もそんな風に人に影響を与えたいなあという気持ちが、まあ実際あります。名前なんか忘れてくれてもいいけど、私の考えたことを広めていきたい。そういう欲。

で、なんでこんな話をしているのかって言うと、ただだらだらと考えたことを書き記したかったってのもあるんだけど、折本フェア用の折本の試作をしていて、お話は書けなかったけど、読んだ人が当事者になってくれればいいなあというものを作っていたから。ジャンルで言えばファンタジーですかねぇ。

試作品で、特に見た目がアレですが、メディアに移してコンビニ行くのが面倒だったのでネットプリントに登録してます。

セブンイレブンで【26123810】、6/1いっぱいまで。
カラーなんで60円です。

折本フェアのときにはちゃんとしたのを出す予定ではありますが、よかったらどうぞ。

投稿者:

氷砂糖

九州在住の五〇〇文字小説書きだった人。鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です