『もういない超短篇作家』セルフライナーノーツ

出来ました。奥付的には2020.06.06発行になっているのですが、まあ別にイベント出展でもないですし。

この記事の末尾に本文データPDFを載せるので、興味あったら読んでみてください。

というわけでセルフライナーノーツです。

タルタルソース

椎名林檎「人生は夢だらけ」をイメージしながら書いたものです。500文字の心臓、タイトル競作正選王獲得。競作の作品群の中で一番料理がおいしそうって言ってもらえてうれしかったです。

白い花の婦人

頭に綺麗な花が咲いてる女性って華やかだなあ、白だったら高潔だなあ、そしてそんな人がタバコを吸ってたらギャップだなあ、からのそれにあこがれる女性、みたいなイメージでした。

いたずら好きの魔法使い

チョコレート苦手なんですけど、甘かったり溶けたりと創作対象としてはたいへんそそります。恋愛関係上の接触に重ねたお話でした。

橋の架かる町

七夕伝説をモチーフに、友人と旅をする様子を描いたものです。旅行に行ったときに私自身はどこに視線を向けるだろう、なんてことを考えていました。

ハサミの音

思い出はそのまま髪なのですが、私自身が嫌なことがあると髪を切りがちなのでそんな重ね方になりました。舞台のモデルは行きつけのヘアサロンです。

しゃぼん玉

遊びに熱中して自由になる、みたいなイメージでした。自由は孤独とセットと言われがちですが、孤独って言葉はなんだか可哀相なものに思えてちょっと違うなあなんて思ったりします。

飴売りの娘さん

氷砂糖お得意の寓話です。最後に物語の今につなげたのは私にしては珍しいかも。

夜空の魚

魚モチーフのお話はけっこうたくさん書いているのですが、実は初めて書いたお話も魚の話だったりします。初めて書いたお話を氷砂糖として書き直すなら、みたいなお話です。

すてきな二人

「水男とアリスはとても仲の良いカップルです。」というのをどんなふうにと繰り返し描いたものです。水男の名前はそのまま水からで、アリスの名前は少女であることを示すためにこれにしました。

本の飼育室

すごく短い超短篇。これ、戦争のルポルタージュにしたところがすごく気に入っています。

やさしさを抱きしめたら

日常に入り込む見える化された概念、みたいなのもちょくちょくやっていたのですが、見える化が巧くいったお話だな、と思っています。

ルナティック

性的なお話が書きたくて書いたお話でした。性行為に理性は邪魔かなー、とかそんなイメージで。

王と占い師

氷砂糖お得意の寓話。実はBLのつもりで書きました。優しいのか残酷なのかは自分でもよくわかりません。

貴女が噛んだ

血と紅の赤を印象付けようとした厨二的な設定ですが、わりと好きです。片思いだと思って書いたのですが、今になって読むと両想いだったのかもしれません。

アクアリウム・ルーム

氷砂糖流のSFです。以前書いたように、技術云々よりもそれが当たり前にある日常を書く方が好きです。なにかこだわりがあって「ヴ」表記にした覚えがあるのですが、何だったかは思い出せない……。

もうできない

これは私が自分の限界を予想してしまった頃に書いたお話です。特に気に入っているかと問われると微妙(私は自分の作品が基本的に好き)なのですが、本のコンセプトに照らすと載せないわけにはいかないよなあ、と。

快晴のち雷雨の予報

奇妙なことを当たり前に書く技術は超短篇を書き続けてほんと上達しましたね。三題噺のお題で書いたものでしたが、3つの単語に必然性があると言われて嬉しかったです。

フードファイター

氷砂糖流の祈りの物語です。これを書いて推敲している間は自身も浄化されていく感覚がありました。

魚と眠る

500文字の心臓ではいまいちウケなかったんですが自分ではすごく気に入っているし、競作の作品発表のときに勝利を確信したお話です。繰り返しますがウケませんでした。

旅に出る

敗者の物語は意識的に書いていきたいなあと思っていて、これもそういうお話です。敗者は表舞台から消えてどこへ行くのかな、みたいなことを考えていました。

以上、全20作。珍しくあとがきも書きました。まあご挨拶くらいはしておこうかな、と思ったので。印刷製本はおたクラブさんです。装丁いろいろできる印刷所さんみたいだったので、予算の範囲ですがちょっと盛ってみました。

本文PDFはこちらです。

投稿者:

氷砂糖

九州在住の五〇〇文字小説書きだった人。鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です