ブラックジャック展、あるいは私にとっての母という人物

土曜日に実家女子会で、福岡アジア美術館で開催中のブラックジャック展に行ってきました。

写真撮影可能なのは入り口すぐの部屋のみ。ペケで見かけていた絵の中に入り込めるようなフォトスポットは福岡会場にはありませんでした。

ブラックジャック展、誰よりも母が乗り気でしてね。あるらしいよーとお知らせしたらぜひ行きたいと。女子会が近付いてきて毎朝のLINE挨拶交換で「手塚治虫ってレジェンド?」って訊いてみたら「神様かも」と返すくらいには手塚治虫ファンです。火の鳥完全版も途中まで全部そろえるつもりだったようですし、ブッダも母のお使いで近所の本屋さんに買いに行かされたなーなどと思いつつ。

撮影可能エリアは中央に手塚先生の作業机が置いてあって、壁には主要人物などの紹介パネルが。写真が撮れたのは前述のとおりこのお部屋のみでした。漫画のコマなのでセリフなどももちろん入っていて読める。

次の部屋は手塚先生の作品遍歴とか発表された時代背景なんかを書籍や映像の展示で示されていました。鉄腕アトムの第一回放送というか虫プロの紹介のところで母が映像に見入っていたので「観てた?」と訊いてみると「小学生やしね、観よったよ」とのこと。母は70代なのですが、母が子供のころにはもう子供向けのアニメ放送があったんだなあと少し驚いたりしました。というか母ってアニメ育ちなのね?

一族で私だけなんだか突然変異的にオタクっぽい(友人からは「オタクではない」と言われる)んですけど、母もアニメ育ちで手塚ファンで高校(?)では漫研にいたらしいし、その時代的にはわりとオタクでは……? 私が「こう」なのは母の影響では……? と思うなど。

第一話の生原稿がまるまる展示されていて、これが第一話だったのか、と思ったり、アナログ生原稿ってこういう風になってるんだー、と思ったりしました。たぶんね、アナログのマンガの生原稿というものを見たのは初めてです。どこから観察したらいいのかよくわかんなかったんですが、写植というものはこういう風に貼られてたんだな、というのがたぶん初めての知識でした。

次の部屋からはブラックジャックの各話をテーマに沿ってカテゴリ分けして、見開き分の生原稿を展示してこういう話をやった、みたいな展示。これがもう大量にあるし漫画原稿だしで時間が溶ける! 入ったときは思っていたより空いているな、と感じたんですが、ここみんな読みながら滞留するからわりと混雑していました。

それにしても私の家族というものは美術館博物館系に行くと自分の見たいものを各々好きなだけ観ようとするので、会場が広いとはぐれますね……(はぐれた)。

社会情勢を映像展示しつつ、それを取り込んだ回の展示エリアや、生原稿一話分がまるまる展示されていたエリア(ここはじっくり見てない)などもありました。

結局2時間半くらい会場にいたのかしら。私はお手洗いに行きたくなってしまって(敗因:お昼ごはんのときに飲んだビール)、妹(疲れてきたからざっくり見るようにして会場内ベンチにいたとのこと、賢い)に声をかけ、母を探して声をかけ、一足お先に会場を出ました。いやー、見ごたえすごいけど2時間超えてみるような展示はさあ、お手洗いはわりと大事ですね。煙草は我慢できたんですが膀胱は耐えられず。物販も会場内扱いなんですが、会場を出てしまうと「再入場はできません」はね、ちょっと大変でした。

お手洗いに行って、ベンチでだらだらとSNSを眺めつつ、母と妹はさらに30分くらい経ってから出てきたかな。二人もまずお手洗いに駆け込んで(笑)、そのあと近くのカフェに入って休憩しつつだべっていました。みんな口をそろえて言う。「疲れた」って。

でも母はめちゃくちゃ楽しそうでしたね。「やっぱり神様って書いてあった!」ってうれしそうでしたし、職場(元医療関係者なので病院)にブラックジャック置いてあったからみんな読んでた、とか思い出話もしてくれましたし、「読んで憧れてお医者になった人もいるのかな?」って訊いてみたら「絶対そこそこいると思う! キャプテン翼みたいなもん!」と興奮して語ってくれるし。妹も疲れたけど楽しかったと言っていたし、よい会でしたねえ。私も楽しかったです。

投稿者:

氷砂糖

九州在住の五〇〇文字小説書きだった人。鉄の街出身、晩秋生まれの嘘詠い。

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