カナリア

籠から放たれたカナリアは海を目指した

太陽と同じ色の翼で懸命に

飛んで飛んで飛んでやがて海に辿り着いたが

カナリアは疲れ果ててしまった

美しい声を失ってしまっていた

波の音

日は暮れてしまった

カナリアは目を瞑る

遠くから人魚たちの歌声

波の音

かすれた喉を鳴らしながら

カナリアは

深く

眠った

13-op-sakana